魚沼産研究

 日本最高のブランド米・魚沼産コシヒカリ。

 

 福島と長野の県境付近にあたる、狭隘な山深い地域で生産された新潟産コシヒカリのこと。

 

 魚沼地区はスキー場に囲まれる高原地帯。昼夜の寒暖差が大きく、さらに枯れることのない豊饒な雪解け水で、コシヒカリの生産適正は抜群。

 

 開けた平野部ではなく、日照時間が短い中山間部だから、生産量もごく限られる。

 

 日当たりのいい新潟平野で生産される、化学肥料100%の多収穫コシヒカリに比べて、収穫量も1割近く少ないとされる。

 

 南は群馬との県境である越後湯沢から、日本酒の銘柄でも有名な八海山麓の南魚沼市までが最適地帯といえる。

 

 一方、急峻な山のない魚沼市、小千谷市、長岡市川口町などの北魚沼地区は、大部分がほとんど平野部。素人眼に見ても、南との生産条件の違いがよくわかるほどの別世界。

 

 もちろん、品質に深く関わる水源地も異なる。同じ「魚沼」であっても、このあたりのお米はただの「新潟産コシヒカリ」と分類されるべきだろう。

 

 そうした背景のお米だから、日本の生産量に占める魚沼コシの割合は、たったの0.2~0.6%といわれる。、うち半分は自家消費等分とされる。

 

 その希少価値と生産条件が生み出す品質ゆえに、卸価格も日本で一番高いのだが、これはその魚沼産があくまで本物の場合。

 

 「魚沼産」と称する米の流通量は、本物の20倍ともいわれる。「魚沼産」と記したコメ袋の流通量も、生産量に比べて不自然に多い。

 

 「これ、ホントに魚沼産!?」 

と疑った人は、

  
・コメ自体が古い

・魚沼産でも非魚沼地帯

・茨城コシや中国など外国米が混入

・ただの一般栽培の新潟産

・魚沼産でも等級落ち(米には格付けがある)

・粒の小さい中米


 要するに、価格相応な魚沼産である可能性が高い。 
  

 もっとも、本物が欲しければ、産地の米屋か生産者から直接買うしかないと、業界筋ではささやかれる。

 

 ただの魚沼産で、さらに販売者が魚沼地区ではない場合、避けたほうが望ましい。

 

 たとえば、ブランドイメージに乗っかり、似つかわしくないディスカウントストアで大量平積み販売されている、古米の新潟コシヒカリよりちょっと高いだけの、正体不明の「自称魚沼産」も見られる。

 

 良質な農産物は、顔の見える生産が常識になってきた昨今。兼業農家が片手間で大量生産した一般米とは違う。

 

 この夏、稲造は新潟をこの足で旅した。

 

 生産量がとりわけ少ない本物の魚沼産だからこそ、厳密な産地明記とブランド管理はあたりまえ。一方の買う側も、トレーサビリティーを確認できるものを選ぶべきなのだ。

 

 「魚沼産」を購入する場合は、魚沼のどこの市町村で作られているのかが明記されているものを、まずは選ぶ。

 

 旧南魚沼郡にあたる地帯の南魚沼市、十日町、そして谷川岳のふもとの越後湯沢といった、スキー場だらけの高原地区のお米が、特に良質とのこと。

 

 魚沼でも最高評価は、南魚沼市塩沢産。「どこぞの魚沼産とは一緒にしないでくれ」とばかりに、ここの米には必ず「塩沢産」と書いてある。

 

・・・

 

 繰り返しますが、本物を選ぶため、魚沼産は

 

・魚沼のどこで生産されているか

・どこの業者が販売しているのか

・できれば誰がどのように作っているか

 

くらいはきちんと確認するべきだと、米屋の私は思います。明記がなければ買うべきではないし、販売者も絶対明記するべき情報。

 

 食品偽装が何度も問題になりましたが、魚沼産は特に、値段だけで選ぶと高確率で偽物をつかみます。