偉人たちの倹約習慣

 家康が鼻をかもうとしたとき、一陣の風が吹いた。

  飛ばされたちり紙を追いかけたところ、「殿もケチですな」と、重臣どもが失笑した。

 「俺はこれで天下を獲った」

  じろりと睨みつけてきた大御所様の開き直った言葉に、部下たちは沈黙した。

  三国志の英雄・諸葛孔明が残した戒め。

  「静を持って身を修め、検を持って徳を養う」

  劉備の息子はこれを無視。死せる孔明、生ける仲達を走らせたのち、国は滅んだ。

  越後屋の三井高利。関東北条氏の初代・北条早雲。藩政改革の上杉鷹山や二宮尊徳。そして西郷どん。

  西を向けば、アインシュタイン、「プロテスタンティズムと…」のヴェーバー、米独立の立役者・フランクリン…。

  「三方よし」の近江商人たちの家訓にも必ず含まれるが、偉人たちの心がけた「質素倹約」。

  京セラやKDDI創業者の稲盛和夫は、一度は倒産したJALの社長に就任。

  「JALが再び羽ばたくためには、君たちがペン一本、紙一枚を自分のものとして使えるかどうかだ」

  職員たちに向かって投げかけた、最初の言葉だった。

  秀吉の側近・黒田官兵衛は、見た目も屋敷も質素だった。

  418年前の神無月。関ヶ原の折、ついにこの時が来たか、泣くまで待ったぞホトトギスとばかりに、天下への野望をあらわにした天才軍師。

  軍資金をと蔵を開いたところ、うだるような金銀が積まれていた。