月を仰ぐと、
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しかし、かぐや姫はなぜ地上に転生し、そして月へ帰ったのか?
「贖罪のため」
と、姫は育ての父に語る。
物語ができた平安初期は、仏教思想が日本をおおいはじめた時代。
恒久的な魂の平安のため、煩悩から解脱することが仏の教え。
解脱者の世界にて、
しかし、魂をささくれだてたその罪をとがめられ、
「中秋の名月(旧暦8月15日)に迎えに行く。
本文では語られなかった、竹取物語のプロローグ。
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帰省して、天の川流れる日本の夜空に、月を見上げる。
悩んだり、悲しんだり、苦しんだり。
だから煩悩もまた、いとをかし。下界は生きるに値した。