島津有理子アナが、9月でNHKを退職した。
実はもうすぐ管理職...という立場に何を思ったのか、医者になるという。
結婚も出産も許せたけど、なにも辞めちゃうことないじゃんと、ましゃロスならぬ有理子ロス。
彼女の転身を後押ししたのは、番組をきっかけに傾倒した「生きがいについて」という昭和40年代に執筆された本。
美智子さんの相談役でもあった精神科医の神谷美恵子氏が、タイトル通り「生きがい」とは何かを、精神科医の立場から、医学的かつ哲学的に考察していく内容。
結核やガンを患い、死の側で日々を過ごしていた神谷氏。43歳から勤め始めたハンセン病患者の国立療養所にて、
「どんな極限状態でも生きがいを見出す人がいる一方、そうではない人もいる。その違いはどこにあるのだろう?」
と、考え始めたことが、執筆のきっかけとなった。
女性的なやわらかさの中、「切れば鮮血がほとばしるような」と本人がいうくらい血の通った文章で、ワンセンテンスごとに読み手の魂に響く力強さ。
「人はなぜ存在するのだろう」という答えのない命題を、実体験と古今の文献の中から紐解いていく。
子育てをする母の生きがい等、執筆当時の自らに置き換えている箇所も数多い。35~55歳の女性には特に、共感できる部分は多いはずだ。
療養所に勤め始めた神谷氏と同年齢になった島津さんが、人生を見直してみたくなった気持ちが、わかるような気がした。