ハチの生態がおもしろい。
働きバチはすべて雌。巣の中で何をしているのか不明なのが雄。そして、たった女王バチの3種類がいる。
蜜を採取するハチ、子育てのハチ、産むためのハチ(女王バチ)...と、役割分担の整ったハチはほぼすべてが女性社会。
雄バチたちは、雌から供給される蜜を食べて、いわゆるヒモとして過ごすだけ。
時期がきたら女王バチとの間に子孫を残す。外に飛び出した女王バチを追いかけるという、最初で最後の熾烈な競争が待ち受けている。
そして、たった一匹の雄しか、女王バチは受け入れない。他の雄の存在意義は、一匹の勝者に蹴落とされることでしかないのだ。
もちろん、ハチに固有の意思はなく、ただ遺伝子どおりに行動し、生涯を終える。
ところが、人間は脳が無駄に大きい。
俺は遺伝子どおりに生きているんじゃない。女王バチを追いかけるだけのドローン(雄バチ)じゃないんだ。
この世における自分の役割があるはず。
「自分探し」に懊悩するとは、そういうことか。女には答えが見えているようなことも、男は無駄に悩むし、うつにもなりやすい。
遺伝情報に逆らわない煩悶なき雄バチの方が、よほど楽な生き方ではある。
が、稲造の1か月になる息子も、いずれは自分の存在について悩みはじめ、眠れぬ夜に身もだえるだろうか
ねぇお父さん、人生において重大な二日は、自分の産まれた日と、そして自分がなぜ生まれたのかがわかった日だよ。
なんて理屈ばかりのホントのドローンになったらどうしようか。