震災後~汚染地域と除染の現在~

環境省:除染進捗マップ(クリックでサイトへリンク)
環境省:除染進捗マップ(クリックでサイトへリンク)

 2018年現在、原発から放射性物質が新たに飛散することはない。現場付近においてさえ防護服が不要なほど、放射線値は下がっている。

 

 しかし、メルトダウン時、火山灰のように飛散した、広島型原爆数十発から数百発分の放射性物質が、いまだに深い爪痕を残している。

 

 原発から出た放射性物質の78%は、日本上空を西から東に吹く偏西風に乗って、洋上へと流れた。

 

 しかし、2号機爆発のときにタイミング悪く風向きが変わり、汚染物質は南の関東地方へと飛んでしまった。

 

 津波で甚大な被害を受けた岩手・宮城だが、実は、放射性物質の汚染は全面積の1割程度。

 

 岩手は平泉・奥州市付近の県南。宮城は、県央は何事もなく、福島との県境、ホットスポット的に岩手との県境付近が基準値以上となった。

 

 しかし、上記岩手・宮城の一部地域、福島の東全域、茨城北部と霞ケ浦・つくば周辺、栃木と群馬の北部全域、千葉県北部、この辺に基準値以上のセシウム137が降り注いだ。

 

・セシウムの飛散地域と除染状況の詳細(環境庁)

http://josen.env.go.jp/#map_on

 

 この資料によると、福島、茨城、栃木、群馬は、県面積のほぼ半分で除染が必要だった。

 

 都市部に降り注いだ放射性物質は、雨によってすでにほとんど流されてしまったという。

 

 一方、森林地帯など除染が難しく、堆積してしまうところはまだそのまま。地下水への浸水も懸念されるが、飲料水は幸いまだ基準値未満。

 

 除染の具体的方法は、田畑では地面の攪拌(かくはん)と表土の除去。これらが環境庁のサイトが示す全地区で行われた。

 

 福島では、さらに「ゼオライト」という放射性物質を吸着させる鉱物を土壌に混ぜ、農地の除染作業にあたった。

 

 農家自身がその効果を疑問視している場合もあるが、事実、表土の放射性物質が基準値以下を示すようになった。

 

 田畑では表土の汚染濃度を薄めることができる。しかし、トラクターが入れない地域や、山中で行われる果樹栽培地域などは、どうしたのだろう?

 

・・・

 

 県境を決めているのが、山河などの自然環境。

 

 その昔、東北地方は太平洋側の青森、岩手、宮城、福島をまとめて「陸奥国」。日本海側の秋田、山形を「出羽国」といって、かなりアバウトに分類されていた。

 

 東北地方の真ん中には2000メートル級の奥羽山脈が走り、出羽と陸奥、つまり日本海側と太平洋側を明確に分離している。

 

 政府発表資料や専門家の見解から判断する限り、幸いにも、この天然の要害に隔てられた秋田・山形両県には、同じ「東北地方」であっても、建屋爆発時も放射性物質がほとんど飛来しなかった。

 

 だから、検査しても基準値以上の放射性物質はまったく検出されず、除染作業もしていない。

 

...

 

 余談だが、震災直後の収穫だった2011年産の福島産米は、行き場を失ったかに思えた。

 

 事実、福島1県全滅かということで、日本のコメ相場が2017年産に準じる価格まで高騰した。

 

 しかし、デフレ社会のこと。

 

 激安専売の飲食業界、とくにY野家など大手外食チェーンが、福島産米を大量に引き取ったという話がある。

 

 そして、「福島産」とはいわず、「国産米使用」と、堂々と店先に掲示していた。

 

 一杯280円の牛丼とか、300円の弁当とか、結局そういうことなのだ。

 

 放射能どうこう以前に、食品の安さと安全性。

 

 安全性の高いものは生産も手間がかかるから、常識的にいえば値段も高くなる。

 

 抗生物質と遺伝子組換作物、さらに成長ホルモンで大量生産された、安い肉類などなど。「安いから」と、知ってか知らずか、見て見ぬふりをするか。

 

 ちょっと高くても信頼できるものを選ぶか。

 

 私個人は食品を扱う人間として関心は高いが、親として子供に何を食べさせるか、常々考えてはいる。