有機肥料と食味の関係

 秋田県横手市は東北有数の稲作地帯です。

 

 あたりは山々にかこまれた盆地で、昼夜の寒暖差がおおきく、水は雪どけ水をたっぷり保水した奥羽山脈から枯れることなく流れ続け、さらに土は真っ黒で栄養たっぷりと、農作物が育つ条件を高いレベルでクリアしています。

 

 さらに、この地域は年間日照量が日本一少ない地域。半年以上雪の日が続くという大豪雪地帯ゆえですが、同時に紫外線量も日本一少なく、女性の色白率も日本一であるといわれています。

 

 さて、弊社はこの横手市から特別栽培米あきたこまちとコシヒカリを輸入しております。そこで毎年恒例、お盆の前に取引先に挨拶に行きました。

 

 「近藤さんにはお世話になってますから」

 

と秋田県人らしく朴訥で人のいい社長が、ナス、キュウリ、スイカ…といった家庭菜園の野菜をくれました。自分で食べるために作っている野菜ですから、ナスは野球ボールのような形だし、キュウリは三日月のようになっているし、表面に傷もあって、見た目はとても悪い。

 

 一方、スーパーにならぶ野菜は、完全な規格品です。大きすぎるもの、小さすぎるもの、傷がついたものは商品にならないため、出荷されることなく捨てられたり、あるいは安く業務用に引き取られているのが現状です。

 

 もちろん、ここでは味のレベルなど関係なく、見た目最優先です。えっ?見た目を優先するあまり、味が落ちるものを食べているの?多くの人は思うかもしれませんが、これが現実です。

 

 味を良くしようと思ったら、もちろん化学肥料の使用をできるだけ減らし、カキ殻や米ぬかなどを配合した有機肥料をふんだんに使わなければなりません。有機肥料は化学肥料とちがい、ミネラル成分のバランスに優れています。

 

 ところが、作物を大きくし、収穫量を増やすための絶対量が不足しています。そこでそれを簡単に、そして安く提供できる化学肥料を与えるのです。化学肥料とは、植物の成長だけに必要な、窒素、リン酸、カリウムのみを与えるバランスの悪い肥料です。

 

 また、虫に食われたりしないように、つまり作物に傷などがつかないように、農薬も使います。現在の国が定めた農薬基準は、DDTを振りまいていた頃とは別次元で、人間が80年間食べ続けても健康に害がない、というレベルです。しかしもちろん、できるだけ使わない方がいいに決まっています。

 

 ちなみに、農薬の使用不使用は、味には無関係です。有機肥料と土壌の肥沃さは、食味に大きく影響します。

 

 私がもらった野菜は、農薬は使用し、化学肥料は使わないというものでした。ふぞろいのキュウリたち。これがうまいのなんの。弾力に優れ、かみ砕くときのパリッとした感触にもただならぬ元気がある。ナスもトマトもスーパーの規格品とは甘味が別次元で、歯と舌がまるで私の口腔から独立して、味わうことを謳歌しているようでありました。

 

 水が美しく、土壌条件も優れ、さらに有機肥料をぜいたくに使ったものであれば、同じ野菜なのにここまでちがう植物になってしまうのか。色も形も悪いとはいえ、これが本来の野菜の色。スーパーの規格品は合成着色料で鮮やかに見せているだけで、価格競争力はあっても、実際は大豆と着色料でごまかした100円の大豆フレーク鮭風味なのではないか。

 

 美味しかったのは、朝とれたばかりで新鮮だったという理由もありますが、やはり美味しいお米や野菜を食べようと思ったら、

 

1.新鮮であること

2.生産条件がその作物に適していること

2.有機肥料をたっぷり使っていること

 

 この3つをクリアする必要があります。そういう野菜なのであれば、100-300円くらい高くても、食べた後の満足度が価格以上に異なってくるのでした。

 

 ちなみに、わたしがもらった横手の野菜と、そして特別栽培米あきたこまちに使用されている有機肥料は、「有米味(うまみ)くん」という、菜種・大豆・米ぬかなどをオリジナル配合した、この生産法人独自のものです。

 

 有機肥料を適度に使うと、収量が上がらない半面、米や野菜がとても健康で元気になります。味にもそれがでるのです。