3月末の話になるが、寝台特急あけぼのが廃止された。 あけぼのは青森と上野を結ぶ寝台特急。「上野発の夜行列車~♪」がこれ。秋田、山形、そして福島を経由していく。 ごく近年まで、本州北端の田舎者は、このあけぼのに運ばれ、早朝ハトの舞う上野駅へと降りた。当時はなぜか東京駅がターミナルではなかった。そして、あの天井の低い古い駅舎と、地べたに正座していた靴磨きの人々と、ブルーテントのホームレスと、未だ下町風情漂う公園口の風景が、東京の原風景となった。 脚本家の内館牧子さんも、野球の落合博光さんも、官房長官の菅さんも、俳優の柳葉敏郎さんも、そして世代的にはギリギリ・ヤング熟女の壇蜜さんさえも、秋田県出身者の多くが、私と同じ東京の原風景を持っているのではないかと想像する。 30歳以上の東北出身者は、多かれ少なかれ、上野という街にたまらない郷愁を感じているはずだ。それに浸りたくて帰国時は京成電鉄でわざわざ上野駅へ降り、公園口を歩いてJRに乗り換える人も多いに違いないし、私もその一人であった。 熊本と東京を結ぶ寝台特急に、はやぶさがあった。廃止されるとき、7時のニュースでそれを伝えるNHKのアナウンサーが、「私もこのはやぶさに乗って上京してまいりました」とこらえきれずに涙ぐむ声で述べていた。 私も、あのNHKアナも、そして東京から遠く離れた地方出身者の多くの人々が、いずれかの寝台特急に乗って、青春時代に1ページを書き加えていた。そして、都会の絵の具に染まっていったのである。 「さよならあけぼの」の映像を見て、たまらなく涙が溢れてきた。9歳の頃、初めて両親と東京へ行ったときの情景が甦った。
Rico Dry (水曜日, 01 2月 2017 19:24)
Wonderful post! We will be linking to this great article on our site. Keep up the good writing.
Tyron Veillon (金曜日, 03 2月 2017 07:18)
Wow! In the end I got a blog from where I can truly take helpful data concerning my study and knowledge.