まず、大事なのはシンガポールでの幸せなお米の選び方です。
その壱:お米が精米から間もないこと
シンガポールのスーパーで買うことができる、日本のお米の精米日に注目してみてください。それが1ヶ月以内なら問題ないと思いますが、高すぎて売れ残り続けたせいか、たまに10ヶ月近く、ひどいものは1年以上たったお米も普通においてあります。
日本ではありえないほど古いお米です。いくら王者・コシヒカリといえど、甘みを完全に失った、違うお米に変質しています。日本で精米から1ヶ月以上たってしまうと、そのお米は「賞味期限切れ」として、どこかに回っていくようです。もっとも、卸売業者が需要のバランスを見て、出荷のつど精米しているため、売れ残りは少ないのです。だから日本のお米はおいしいわけです。
その弐:お米がリーファー(冷蔵)コンテナで輸入されてきていること
海上輸入コンテナには、ドライコンテナとリーファーコンテナの2種類があります。ドライは常温ですが、赤道に近づくに従い、室温は高くます。屋根の上では目玉焼きができますし、最高温度は75度にも達するそうです。東南アジアゆえに、もはや中身はダクダクのサウナと同じ。不快指数120%、食料品を輸送するレベルをパーフェクトに逸脱した温湿度です。
ワインはリーファーコンテナや空輸のものは、フランスやイタリアで飲むものとまったく同じ。それ同様、お米もリーファーコンテナで輸入されたものは、変質がまったくありません。日本品質を維持しているわけです。
つぎに、お米の幸せな炊き方です。
その参:厚手の釜を使うこと
日本では多種多様な電子ジャーが発売されています。高価な釜は、すべて厚手の釜です。中には南部鉄器を使った超本格派、羽釜形状の鋳物職人泣かせみたいなものもあります。触った感じは芸術性さえ感じさせる肉厚ぶりで、釜自体が1キロ以上と、とても重たい。
そうです、ご飯の決め手は、この釜の厚さなのです。シンガポールで電子ジャーを購入する際も、パナソニック、象印、フィリップス...とメーカーがたくさんありますが、値段に関係なく、厚手の釜のものを購入しましょう。60ドルくらいのぶつけたら凹んじゃうようなペラペラ釜は、炊いたあと3時間も中に入れていると、ごはんがバリバリになって食べられなくなる(はずです)。
その四:シンガポールは水道水でもおいしく炊ける
水には硬水と軟水の二種類があって、中の石灰濃度によってそのレベルが決まります。日本は石灰分の低い軟水ですから、お米も当然軟水で生産されています。よって、炊くときに使う水も軟水がベストです。
では、大陸の水は硬水だけど、シンガポールは硬軟水どちらか?水道水は海水淡水化、マレーシアからの輸入、リザーバーから…といろいろありますが、どうやら、軟水に近い硬水のようです。
それに、シンガポールの水道水は東京の水道技術を導入したことによって、レベルがかなり上がったそうです。ごはんを炊く際、気にせずに水道水を使ってもいいと思います。もちろん、軟水のミネラルウオーターがベストです。間違って、欧州輸入の硬水ミネラルウオーターを使わないようにしてください。
その伍:研ぎ汁が3分の1の白さになるまで
米研ぎで最初に入れる水は絵の具を溶かしたように真っ白になります。この白い色は、でんぷん質が溶けたもので糠ではありません。これは不純物等が入っているので、すぐに捨ててしまいます。その後、何回か研いでいると研ぎ汁がだんだん透明に近くなっていきますが、これが最初の3分の1以下の白さくらいまで研げれば、もう十分だと思います。
その六:30分水につけてから炊くより、炊いた後15分蒸らすほうがずっと大事
研いだ後に30分以上水につけてから炊飯器のスイッチを入れるのがベストですが、時間がかかって仕方ありません。7時にごはん食べるのに、5時半からごはん作れってかーっと、お母さんも涙目でしょう。
そういう時は、炊き上がってから一度ごはん全体に空気が触れるようにかき混ぜ、15分ほど置いておくほうを重視します。すると、ごはんが適度に形を作り、炊き上がり直後よりもずっと食感がよくなります。
以上、ごはんがおいしくなるだけで、シンガポールで幸せを感じるようになる方法でした。
稲造さんのお米を食べても、炊き方をその通りにしても、「全然幸せになれなかった」という方、ぜひご連絡下さい。