ひとめぼれの産地をゆく 花巻平泉編

 「あまちゃん」で一躍ときの県となった岩手県。

 

 とにかく巨大で、なんと岐阜や長野よりも広く、北海道について全国2番目の面積を誇るとのこと。でかいことは、とにかくいいことですよ。

 

 秋田県横手市から奥羽山脈をクネクネと横断し、たどりつくのが北上市です。

 

 北に花巻市、南に奥州市、平泉町…と旧伊達藩の大穀倉地帯、古くはアテルイが中央政府に牙をむき、平安時代は義経を匿った奥州藤原氏が栄華を誇った歴史的地区でもあります。

 

 北上川流域からは、縄文時代の遺跡が数多く出土しています。

 

 川を中心に山間に形成された巨大盆地であるため、見るからに夏は暑く冬は寒い豪雪地帯といったイメージです。ただ、盛岡市の北に源流を持つ北上川のおかげで土壌が非常に豊かで、さらには盆地気候に由来する寒暖の差により、美味しいお米がとれる日本有数の穀倉地帯であります。

 

 岩手、宮城と県をまたぎますが、その田園の規模は日本一の米どころ・新潟一県に匹敵するものです。

 流域から出土したお馴染みの土偶さん。このでかい目と微妙なスタイルのご祭神、秋田県からも出土しているわけで、一体何を意味するのか、皆目見当がつきません。色んな所から同じような姿をした御祭神が出土しているあたり、空を飛んでいける宇宙人が縄文時代の日本を治めていたのでしょうか。

 

 ってか、最近流行りの、顔の3分の1くらいありそうな、でかいサングラスをしたお嬢様たちに見えなくもありません。

  さてさて、岩手県は天日で乾燥させるおコメの割合が多いみたい。秋田とは打って変わって、こうした光景が広がっておりました。

  稲をある程度束ねて、棒に引っかけるだけの簡単作業ですが、蓑を着た時代劇の人みたいですね。

 

 ちなみに、岩手県南部産のひとめぼれは、日本穀物検定協会18年連続特A級の指定産地。つまり、気候変動に左右されず、安定して美味しいご飯を提供できる産地ということですね。

 

 この点からも、「ひとめぼれ」という品種の育てやすさがわかります。宮城県北部のひとめぼれもずっと特A級指定産地ですので、岩手県南部から宮城県北部、つまり北上川が流れる一帯、旧伊達藩の領地は、北上川のたまものなのでした。

 こちらの風景は、立往生の弁慶に守られた源義経が最期を遂げたといわれる、平泉町の高館という小高い丘の上から撮った風景です。

 

 また、松尾芭蕉がこの風景を見ながら、

 

          夏草や 兵(つわもの)どもが 夢の跡

 

の俳句を詠んだ、文学史上にも名高い景勝地でもあります。

 

 北上川がちょうど蛇行するところで、山と川の間には、大変肥沃な穀倉地帯が広がっています。

 

 平安時代には、この一帯から金が採掘され、それで世界遺産にも登録された中尊寺金色堂を建設されました。金色堂を見た外国人が噂を広め、それが欧州まで伝わって、「ジパング=黄金の国」としてJAPANの語源にもなったといわれています。

 

 欧州にジパングの名を広めたのは、中国に17年間も滞在していたマルコ=ポーロ。後に、かの有名な東方見聞録を記します。それが大航海時代前夜。コロンブスがその書物を読み、伝説のジパングに刺激されて大西洋を横断してしまったわけですから、歴史のつながりとは面白いものです。

 

 もし金色堂が作られていなかったら、JAPANは別の名前になっていたし、マルコ=ポーロも東方見聞録を書かなかったわけで、歴史は大きく変わっていたのですから。 

 

 そんな黄金伝説をもつ北上川流域のお米を、稲造米穀店はシンガポールの皆様にお届けします。

 平泉町から、また奥羽山脈を越えて秋田県へと戻るのですが、一帯の水源地がとてもきれいであることを証明するような泉が、コンコンと湧き出ておりました。

 

 須川岳秘水 ぶなの恵

 

とあります。水質は秋田県側と同程度です。PHが7.5のアルカリ質で、この辺がどのような影響をコメにもたらすのかまではよくわかりません。

 

 とにもかくにも、奥羽山脈を中心とした米作地帯は、水が本当に美しい。豪雪地帯であるゆえに、その雪解け水の中に土壌中の豊富な栄養分が含まれた、日本有数の良質な水源地なのでありました。

 

 右の写真のような小川が無数に存在し、それが北上川に流れ込み、ひとめぼれを生産する源になっています。

 

 新潟、富山もまた、海沿いよりも雪深いアルプス沿いは、コメがうまそうです。水源地に近ければ近いほど、生活排水も流れ込みません。

 

 上流ゆえに決して枯れることのない、養分豊富で純粋な森の水で農作物ができきます。よって、同じ「〇〇県産」であっても、下流域の平野部よりも、山間部の方が断然うまい米が生産可能なのです。